第六話 みなみは戦略と現状について考えた。

 アニメ版『もしドラ』、回を重ねるごとにドラッカーの言葉の解釈に怪しいところが目立つようになってきたように思います。今回のお話しの中で『トップマネジメント』について、二階君が「一人じゃこなしきれない仕事を分担してチームでそれぞれの仕事をマネジメントしていくことさ。」と言っていましたが、これでは単なる役割分担と言っているように聞えます。『マネジメント』の中の「トップマネジメントは一人でなくチームによる仕事である」という言葉を、そのまんま言葉通りに解釈してしましたようです。もちろん『トップマネジメント』というのは組織や部門のトップが行なうマネジメントのことであり、それに対してドラッカーが「チームによる仕事である。」と言っているのは、組織や部門のトップ達がお互いを尊重しあってチームワークとして組織全体のマネジメントをする必要があるという意味です。

 しかし、今回のお話しでの、みなみの行動の中には、素晴らしいものもありました。それは、新入部員の面接による選別とその選別基準です。みなみは新入部員の志望動機を聞いて、程高野球部という組織のミッションや理念に合致した人材を選抜していました。これはとても大切なことです。『経営者に贈る5つの質問』の、第一の質問「われわれのミッションは何か?」の解説でドラッカーは「リーダーたる者は、組織のメンバー全員がミッションを理解し、信条とすることを確実にしなければならない。」といっています。これは、組織のミッションとその構成メンバー各々の信条が一致することが、組織運営に不可欠だということです。そして、新入部員に組織のミッションを理解してもらうよりも、元々信条が一致している人物を組織の一員にする方が、より簡単で、かつ強固な組織ができることは明らかです。

経営者に贈る5つの質問

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