第五話 みなみは過去の高校野球を捨てた。

 いよいよ、程高野球部のイノベーションである「ノーバント・ノーボール作戦」の試合での実践です。原作では、この大学との試合は大差で負けたということしか書いてありません*1。試合の経過はアニメ版のオリジナルの内容だということです。しかし、せっかく試合のプロセスを見せるようにしたのに、そのプロセスの中で、なぜ程高の選手達が徐々にエラーを減らしてゆくことが出来たのかという部分が描かれていないのは残念です。選手達が明らかに成果をあげているのだから、そこには『フィードバック分析』が行なわれていた、といった形で描くことは出来たのではないでしょうか*2

 『フィードバック分析』もドラッカーの著書の中で繰り返されている、重要な考え方です。『明日を支配するもの』の中には「自らをマネジメントするうえで最も重要な手法が、フィードバック分析である。何かをすることに決めたならば、何を期待するかを書きとめておく。九か月後、一年後に、その期待と実際の結果を照合する。」とあります。個人の成長という目的に対してはこの位の長いスパンで評価する必要があるかもしれません。しかし、『フィードバック分析』の本質は、計画と結果を照合してその差がなぜ生まれたのかを見極めることにあります。このプロセスが行なわれていれば、一ヶ月でも一週間でも、『フィードバック分析』は機能します。そして、もう一つ重要なことは、このプロセスを繰り返すということです。繰り返しによって計画と結果の差を縮め、狙った通りの行動ができるようになるのです。

明日を支配するもの―21世紀のマネジメント革命

明日を支配するもの―21世紀のマネジメント革命

*1:原作ではむしろ、この大学と練習試合ができるようになった経緯の方が重要で、そこに程高野球部が組織として社会に貢献し、その結果として野球部員が成長出来たということが示されています。

*2:次回のお話しの中で、ふりかえりとして描かれるのかも知れませんけれど。