第七話 みなみは成果について考えた。

 今回のテーマは『成果』ですね。お話しの中で成果について、みなみと夕紀の間で意見の対立がありました。しかし、二人が言っていることはどちらも正しいと思います。

 夕紀は「野球部が甲子園に行けたか行けないかの結果よりも、甲子園に行くためにみんなが一丸となって取り組んだ、そのプロセスの方が大事だと思ってるの。」と言いました。これは、単に努力したことに価値があるということではなく、程高野球部が五回戦までコールド勝ちできる程の実力を身につけたことが成果である。と解釈出来ると思います。

 一方、みなみは『マネジメント』から「組織構造は組織の中の人間や組織単位の関心を努力ではなく成果に向けさせなければならない。成果こそ全ての活動の目的である。仕事のためではなく成果のために働き、過去ではなく未来のために働く能力と意欲を生み出さなければならない。」という言葉を引用した上で、マネージャとして野球部を甲子園に連れていって感動を与えることに責任がある。そして「その立場の人間が結果ではなくプロセスを大切にすると言うのは真摯さに欠けると思う。」と言っています。この言葉も正しいと思います。

 この二人の意見が対立しているように聞えるのは、そもそも甲子園出場は目標であり、それだけが唯一の成果ではないということを取り違えているからでしょう。例えば、売上 3000 万円がやっとという企業が、目標を 8000 万円*1に設定したとします。その企業が安定的に 5000 万円の売上を維持出来て、更に伸びが見込まれるようになったとしたら、それは成果といえるはずです。更に、みなみはプロセスという言葉を『努力』と置き換えて否定的に解釈していましたが、組織に正しいプロセスを規定することがマネジメントだとも考えられるます。そう考えると、二人の言っていることの本質は同じだといえるでしょう。

マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則

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*1:お話しの中の予選の回数を一回 1000 万円と換算して考えてます。