『ドラッカー365の金言』7月10日・『明日を支配するもの』より
一般論として、人はなぜ問題点にばかり目を向けるのだろうか?*1 今日の頁の本文も、月例報告の最初には必ず問題を列挙したページがあるという前提で書かれている。もちろん、問題点を無視してはいけないけれど、それが最重要のテーマであるという風潮はおかしいと思う。問題点を解決するだけでは正常な状態になるだけだし、モチベーションも上がらないのに……。
本文で挙げられているソニーと同じような形で成功した日本企業に本田技研があるが、その創設者、本田宗一郎の言葉にも「人生は『得手に帆あげて』生きるのが最上だと信じている」*2というものがある。誰だって、問題点を克服するより成功例や得手を延ばす方が楽しいはずだし、楽しい方がパフォーマンスが上がることも分かっているのに、なぜそれが普通に実行されないのだろうか。
ちなみにコーチングのセッションでは、クライアントの行動に対して、良い点を認めるところから入ります。セッションの始めに、問題点を挙げるなどということはありえません。クライアントに問題点を認識させなければならない場合でも、問題点を発見すること自体が前進だ、とか、問題を生んでいる原因を見つけることで問題解決に近づいた。などと、あくまでも前向きに働きかけます。それが、クライアントのパフォーマンスを引き出すために必要なことだとコーチは考えています。
- 作者: P.F.ドラッカー,Peter F. Drucker,上田惇生
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